【レンズのお話】 smc PENTAX-F 35-80mm f4-5.6
お久しぶりです。そらです。
いろいろあって更新が途絶えていました。
またゆるゆると進めていきたいと思います。
というわけで今回のお話はレンズです。
カメラじゃねぇのかよ。
こんなレンズです。
ちっちゃいですね。ガムのボトルよりちっちゃいです。
見た目通りに軽くて160gくらいしかないらしいです。
35-80mmなので、APS-Cなセンサーではだいたい50-120mmくらいのレンズになります。
中望遠よりかつ最短焦点距離が短い(40cm)ので、結構寄って撮影できたりします。
F値が4始まりなので、少し暗めです。
現行のPENTAXのISO値の範囲は広いので、多少暗くてもあまり気にならないなぁという印象ですが、フィルム時代だときついのかも?とも思います。
フィルムだとしても晴天下の撮影だと絞ると思うので、きつくないかもしれません←
開放のボケが少なくなったりもしますが、風景やボケを意識しない写真なら何の問題もないなぁ、と。
望遠側で撮ると案外ぼけるので、個人的には気にならないです。
描写についてですが、どうなったら世間一般で言う「いい」なのかわかっていませんが、広角側から望遠側まで開放からしっかり撮れるなという印象です。開放でもピントが合う場所はしっかり写りますし、AFスピードもそれなりに速いので、ストレスなくシャッターが切れます。
ズームレンズとしては画角が狭いですが、単焦点レンズのように足で稼ぐレンズ微調整が付いたとイメージすれば結構使いやすいです。
現行の20-40mmも似たような使い心地になるのかなと考えたりします。
現行のあのレンズとは違って手頃な値段で手にはいるので、見かけたら触ってみると楽しいと思います。
最後にこのレンズで撮った写真を並べておこうと思います。ではでは。
もっと明るい写真撮ろうなそらさん。
【夢の話】未来のどこかの建物の話
「次はここだね」
目の前には高い建物。白かった壁には蔦が這っている。陽を取り込むガラスは砕け、中だけでは我慢できないと、枝を伸ばしている。
「ここは何なんすか」
遅れて乗り物から降りた女が言う。
「商業複合施設。色んな店や、遊ぶ場所がひとところにまとまった場所だよ」
「ふぅん」
興味無さげな反応。
今は存在しないものだからその反応は肯ける。自分もきっと同じようになるだろう、実感がないからだ。
硝子が割れ、意味をなさなくなっている扉から建物に入る。何時振りにここに来るだろうか。前に来たのは幼い頃だった気がする。
建物の中も、外と同じように朽ちていた。緑が生い茂っている中を歩く。殆どの店は開店していた。店を閉じる余裕が無かったのか、閉じる前にそうなってしまったのか。賑わっていたままに、今に浸食されていた。
「こんな服が売ってたんすねぇ。昔の人は不思議っすねぇ」
女性ものの服を不可解だと、そう見る女。
たしかに今では考えられない服装だ。
「そうだねぇ、不思議だねぇ」
建物内を歩き回ったが、めぼしいものは無かった。そろそろ出ようかと思った時、ある扉の の前に辿り着いた。あぁ、こんな場所もあったなと扉を撫でる。子供の頃そうしたように、扉の横の三角に触れるとあの頃のように扉が開く。
まさか、と思いながらその先の箱に入ると、上に移動する旨を電子音声が伝えてくる。
箱の外が下に落ちていくのを見て、不思議っすねぇ、と繰り返す女に不思議だねぇ、と返す。
箱が止まり、外に出た先には急な傾斜と、打ち込まれた梯子。なんでこんな風にしたのか子供の頃はさっぱりわからなかったが、今見てもわからない。梯子を上り切ると、その先には小さな部屋と、その両脇に扉があった。
部屋の中の椅子と、その前に突き出た操縦桿を見て懐かしいなと思う。なんでかわからないが、そこに座るのがとても楽しかった記憶がある。
横の扉を開いて中に入る。
小さな部屋で、むぁ、といぐさの匂いが鼻を突く。日に焼けた色の部屋の隅に、ビニルに包まれた、白を基調に薄桃色の模様が描かれた着物があった。そういえばこの頃だったかと思いながら着物を撫でる。あのこに着て欲しいと言ったら嫌がられるだろうか、きっと似合うのだけど。これを着た彼女を思い浮かべて顔が緩むのを感じた後、部屋から出た。
そこで目が覚めた。
「夢」「窓」「氷」「三日月」「埃」
「ここに高名な剣士がいると聞いたのだが 」
勢いよくドアを開けたのは、身の丈ほどもある剣を背負った偉丈夫。 店主は気圧されず、ご注文は、と返す。飲まぬ客に渡すものなどないのだ。
「俺は酒を飲みに来たわけじゃねえ。さっさと聞いたことに…… 」
「ご注文がないのでしたら、お引き取りを 」
にべもなく返す店主。
「……樽酒を頼む 」
「右奥、窓際のテーブルでお話を」
グラスに注がれた、樽の色に染まった液体を一気に飲み干すと、喉から胃にかけてかぁ、と熱くなる。グラスを店主に返し、指定された席へと向かうと
「またくだらん与太話を信じた馬鹿が来おったか 」
吹けば倒れそうな爺が一人。グラスを持つ手は震え、それを支える腕は枝のように細い。腕だけではない、全身の肉という肉がそげているようにも見える。
「与太話とはどういうことだ。俺が聞いた剣士は今にも死にそうな老いぼれの癖に、剣を向けたらいつの間にか倒されてるって話なんだが 」
あんたじゃないのか、と言いつつ、老人の前の席に座る。
「ここらで有名な剣士について知っていることを話してくれ 」
「昔ならともかく、今はそんなものはおらん 」
「昔ってことはいるのか、話せ 」
そう焦るな、と空になったグラスを揺らす。
店主が新しくグラスを持ってきて、剣士のほうに手を突き出す。ここではそういうルールらしい。硬貨を渡し、爺の話を待つ。
あれはもう死んどるよ、と言う。
数十年前のことじゃ、とぽつぽつと語り始める。若いころの爺は剣士と同様、強者を求めて流離っていたらしい。そんなある日、この町に強い剣士がいると聞いて立ち寄ったそうだ。
「年若い女でな。氷のように冷たい表情をする女じゃった」
爺は女に勝負を挑み、そして手ひどくやられた。その剣はひどく流麗で、さながら舞を見ているかのようだった。その件には敵わぬと、至ることのできない高みだと痛感し、強者を求めることをやめたのだ。
「じゃがな、あの剣が目に焼き付いて離れんのだ。瞼を閉じれば何時も彼奴と立ちあっておるのだ。どうすればあの美しい剣に至れるのかとひたすらに立ち会いを続け、そしてなぞるように剣を振り続けておる 」
そうしているうちに時は流れ、女はいなくなったそうだ。その後も剣を振り続け、時折この酒場に来る剣士を求めるものを叩き帰していたらしい。なぜ無手で相対していたのかと問うと、見せるほどの高みに達していないからだ、と返してきた。
「そろそろ潮時かもしれん」
剣は振るにはこの体は衰えてしまったという。これも何かの縁だ、振るえるうちに剣を見てほしいと言ってきた。見せるようなものではないのではなかったのか、という疑問を飲み込み、頷いた。爺の言う高みに達していなくとも、それに近い何かは得られると感じたからだ。夜、町の外れでとつぶやき、爺はよろよろと立ち去って行った。
***
望んでいた剣士かはわからない。が、立ち会う相手には全力で立ち向かう。それが男の信条である。爺が去った後は宿へ戻り、日が暮れるまでじっくりと準備をする。振るう剣は研ぎなおし、一片の曇りなきよう磨き上げた。剣身に映る自身の顔にそれに刻まれた傷が重なる。このひとつひとつが男を強くし、さらなる強さを求めさせている。彼らは言うのだ。今宵の獲物は極上だ、と。鞘へ納め、目を閉じ、深呼吸。全身に闘気を巡らせる。荒ぶるそれが穏やかになるまで呼吸を繰り返す。
「行くか 」
爺は月の下で目を閉じて佇んでいた。腰に佩いた剣は輝き、そしてくすんでいる。幾年と同じ動きを繰り返したのであろう、鞘は爺の掌の形にぬらりと光を走らせ、そこ以外は埃が払われてすらいない。
「爺のたわ言と流さず、此処へ来てくれた貴様に最大限の謝辞を 」
酒場で見た枯れ木のような爺はそこにはいなかった。吹けば倒れそうな風体をしているくせに、軽く握れば折れそうな躰をしているくせに、それとはまるで反対のものを見ているようだった。そうだ、それでいい。それが男を強くするのだ。
「礼なぞ要らん。構えろ 」
倒す道筋はとうに見えなくなった。見えないなら、倒される前に見つけるまでだ。何時ものように握り、腕を動かす。分厚い鉄はしゃらん、と軽やかな音を奏で、男の呼吸を整えた。
剣士は腰だめに構え、動かない。剣身をわずかに覗かせているが、どう動くのか見当がつかない。曲刀を扱う民族の構えに似ているが、あれと同じものではないと勘がが告げている。注意深く、剣士の動きを観察する。
――たんっ
軽い音とともに、剣士がこちらに駆けてくる。駆けてきていた、その筈だった。男の目から、剣士は姿を消したのだ。
周囲の気配を探る、前、後ろ、右、左……どれにも剣士はいない。
直後、脳天に何かを感じた。天高く飛び上がり、こちらに剣を振り下す姿があった。夜の光は遮られ、しかし振るう銀色が三日月のようだった。
「わしの剣はどうじゃ」
剣士は男の首にあたる寸前で刃を止めていた。忘れていたかのように息を吸うと、ぴり、と痛みが走る。
「夢に出てきそうなほどに最悪な剣だ 」
「最高の、誉め言葉じゃな 」
そう言って爺は倒れ、それきり動かなくなった。
「好きな人/推しを目にする」「珈琲」「青」「桜」「羽」「木漏れ日」
がりがりと音が聞こえる。ここの店主はいつも同じスピードで豆を挽くのだ。だから3,2,1……そう、ここで手が止まる。止まってからこういうのだ、どのカップで飲みますか、と。
「今日はそうね、それでお願いしてもいいですか? はい、その桜の花のものです 」
「私はその犬の描かれたカップで飲みたいです 」
2人組の女性客の指さしたカップを手に取り、ドリッパーを置く。 ゆっくりとひと回し。少し待って、またひと回し。 湯を入れる間隔が大事なのだそうだ。 どうぞ、と客に渡されたカップからふわふわと湯気が立ち上っていて、胸いっぱいに吸い込むと甘い香りがするのだろうなと、そう思える湯気だった。 女性客は気にも留めすに砂糖を入れ、かき混ぜ、ひとくち。
「この珈琲がないと一息ついたって感じがしないよね。」
うんうん、ともう1人が頷く。こちらも砂糖とミルクを大量に投入し、あの薫り高い湯気は身を潜めてしまった。
「これを飲むと午後も頑張ろうって思うよ、翼が生えたって感じ 」
「エナドリじゃないんだから 」
笑いあう女性たち。せっかく丁寧に淹れてくれたのだから一口くらいはそのまま飲めばいいのに、と眺めている視界に影がかかる。顔を向けると、少し不機嫌そうな店主の顔。 どのカップで飲むのかしら、と目で聞いてくる。窓から射した光が彼女の栗色の髪からこぼれて、まるで木漏れ日のようで。少しぼう、としていると、早く決めてよねと言い、こんこんと足音とともにカウンターに戻っていく。
決めていないわけではなく、見とれていただけだと言いたかったが、いつもそればかりと返されるのだろう。他の客とは異なる態度に、頬が緩む。
カラン、と音が鳴り、新たな客が入ってくる。
この男もよくここに来る。決まってカウンターの端、少し暗いその席に座る。店主は静かに灰皿を置き、男性は煙草に火をつけた。
がりがり……がりがり……どのカップで飲みますか。
「今日はあれだ、黒いやつで頼む 」
2本目に火をつけながら答える。青い煙が白く溶けていく。飲む前にそんなに吸って、味がわかるのだろうか。そう思いながら見ていると、男性はこちらを見てにやりと笑った。
「どうぞ 」
男性客に珈琲を差し出した店主がこちらに歩いてくる。 どのカップで飲むのかしら、と目で聞いてくる。 適当に目についたカップで飲みたい旨を伝えた。 先程と異なり、羽が生えたかのように軽やかな足音で戻っていく。
男がこちらを見て、にやりと笑った。悔しくて唇を噛んだ。
【にゅーぎあ】koh craft Asymmetry Square Lite
こんにちは
おはようございます
そしてこんばんわ
いつの間にか平成が終わって結構経ちました。
今回も今回とて正月のエフェクターの紹介をしていきたいと思います。
時間が経ちすぎてにゅーぎあといいづらい←
koh craft Asymmetry Square Lite
見た目がとても良い
前回の記事でも書いた通り、歪エフェクターの紹介です。
koh craftさんは音楽関連の個人ビルダーで、主にノブ類の作成を行っています。
僕の5弦にもそのノブがついています。
見た目がとても良い(2回目)
はい、エフェクターの説明に戻りましょう。
コントロールはGainとVoトーンスイッチがふたつです。
たまにどっちがどっちのつまみかわからなくくらいで、操作はとてもし易いです。
音出しして最初の感想はそう、音が大きい、これに尽きます。僕が持っているエフェクターの音量が全体的に小さめというのはあると思いますが、それを加味しても大きいです。
OCDやOD-3と同程度の音量が出てきます。アンプが吹っ飛びそうです←
音量は9時くらいでも十分に出ます。音量が大きめのほうがブライトな音になるので、できるなら上げ気味で使いたいです。音量を下げるためのエフェクターが欲しいですね。グライコさん出番だ。
歪の系統としては、koh craftさんがおっしゃっている通り、DS-1に近い質感で、少しざらつきのある歪みになっています。コード系で強く弾いた時に音が飽和する感覚も気持ちいいですね。
Gainを上げていくと歪み量はかなり増えます。
ブリッジミュートで刻んだりするよりもコードとかをかき鳴らしたほうがそらさん的には気持ちいいです。
ちなみにGainを最低にすると音が出なくなるので注意です。まぁそこまで下げる人はいないとも思うのでたいして気にならないです。
トーンスイッチですが、これは効果があるのははっきりわかるのですがどういった効果なのかがいまいちわかっていません←
右側のスイッチはoff?だと低音が締まってすっきりする気がします。on?だと低音が結構出てくるので、ここは結構好みがわかれるかもしれません。
左側のスイッチは難しいです。うまく説明できないのですが、単体で使うときはoff?状態の方が好みです。
つまみでの音色変化の他に大きな特徴があって、この Asymmetry Square Lite、前段のペダルの音の強みがすごく影響してきます。前段の強みと Asymmetry Square Liteの音がいい感じに混ざってきます。
たとえば、僕がよく、というかギターでは絶対に使用している自作Bluese Breakerを前段に置いた場合だとBluese Breaker特有の音の丸さと歪の細かさが Asymmetry Square Liteに乗ってきます。細か荒い歪とかいう不思議な状態になります。これもおいしい。
みんな大好きSuper Hard OnならGainを上げていない状態でも高音域の強さが、ZOOM Tri MetalならGainの荒さが乗ってきます。組み合わせる歪の質が違っていたらめちゃくちゃに喧嘩していたかもしれませんが、僕の手持ちはいい具合になるものが多いです、
おいしい。
そんな感じのペダルです。
気になる方は思い切って買っちゃうのもありと思います。
もうすぐボーナスd(ry
割と真面目にギター用のボードに入れたいなぁと考えています。ほかのペダルとの音量差をどうにかして調整しないとなぁ……
今回はこのへんで
次はどれにしよう
【夢の話】せんせいの家に行く話
うちにはもうひとりいるから、仲良くしてやってくれ
先生と呼んでくれと言った少女はそう言った。
よくわからないこの世界に落とされた僕の言うことを、何も言わずに信じてくれた先生。
関係を悪くしたいとは思うわけもなく、はいと答えた。
先生の家に着き、戸を開く。すると奥からパタパタと、こちらに来る足音が聞こえる。
先生、おかえりなさい。
そう言って出てきたのは中性的な少年だった。それも、なぜか半裸の。
違う、私の趣味などではない。君、服は着るものだと教えただろう。着てきなさい
僕の胡乱な視線を受けた先生はすこし焦った感じでそう言った。
着替えてきた少年に紹介される。
このこは だ。 、こちらは 。暫くうちにいるから仲良くしてやってくれ。
わかりました、先生
元気よく答える少年。
僕も特に反発する必要はないので、わかりましたと答える。
リビングか、ダイニングだろう。そこに案内してくれた先生は、お腹が空いただろう。少し待っていたまえ。そう言って奥に行った
しばらくするといい匂いがしてくる。僕の目の前に座った少年は目を輝かせてキッチンのほうを見ていた。料理は美味しかった気がする。
先生たちと過ごし始めてわかったことは、先生は本当に先生のように、少年にいろいろなことを教えているようだったこと。少年は教えてもらったことを嬉しそうに僕におしえてくれること。
教えてもらったことは大抵、僕も知っているようなことで、拙い部分を指摘すると尊敬の眼差しで見られる。たいいしたことはしていないので恥ずかしい。
基本的に過ごすのは先生の家の中で、そこから出ることはない。窓は締め切られていて、ベランダから外に出ることも叶わないようだ。
これを見てください
ある日のこと。少年が持ってきたのは、筆に硯、半紙。この西洋風の建物にあまり似つかわしくない書道セットだった。
見ていてくださいね、そう言って文字を書きはじめる少年。書いているのは日本語で、それはかろうじて読み取れる単語だった。いつものように、ここをこうしたほうがいいと手本を見せてやる。久しぶりの書道だったので、少し真剣に書いた。
一通り教えたところで先生が帰ってくる。
ただいま、と少し嬉しそうな先生。
なにかあったんですか、と聞くと、引き取り手がいなくなってしまった、とても残念だと言った。残念だと言いながらも顔が綻んでいるのは、きっと少年と過ごす日々があたたかいのだろう。笑う先生を見た少年は、どんな話をしているのかわかっていない顔で、でも嬉しそうに笑った。僕も笑った。
そこで目が覚めた。
【夢の話】どこかの古い世界の話
草の匂いと、土の匂いがした。
土色のレンガで建てられた、砦といえばいいのだろうか。大きな建物が目の前にあった。
砦の周りには傷ついた人が沢山いた。包帯に血をにじませた人、松葉杖をついている人、椅子に座ってぼうとしている人。白衣を着た人が、担架に載せた誰かを砦の中に運んでいく。
ここは砦ではなくて、病院なのかも知れない。
そう気づくと、さっきまでは感じなかった血の匂いや、どことなく重たい空気が体を包んでくる。
ざり、と後退る。体が勝手に動くのだ。
後ろの何か、大きなものににぶつかる。振り返ると、大きな体の男と、優しげな女。男は僕の頭に手をのせ、何かを言いながら撫でる。大丈夫だ、と言われたように見える。
男が建物の方に歩いていく。女はそれについて行こうとして、気づいたかのように僕の手を取り、歩き始めた。女の手は大きいけど華奢で、柔らかくて暖かい。手が大きいのではなくて僕の手が小さいのだと、小さくて幼い自分の手を見て気づいた。
僕はこの人たちと旅をしてきたのだ。それはなんとなくわかっている。でもなんで旅をしているのだろうか。この人たちは僕がいないほうがなんでも上手くいくはずなんだ。
土の道を踏み歩きながら思う。建物に入った。入ったと思ったらそれは門で、中には建物と、石畳の渡り廊下。中庭があった。そこは渡り廊下と違って、土の地面。外の道と同じように踏み固められていて、所々背の低い草が生えている。
女に手を引かれながら周りを観察する。こんな景色は写真や映画、ゲームの中でしか見たことがなくて、とても珍しいから。珍しいと感じていない僕も僕の中にいて、怪訝な目で僕を見ている。
きょろきょろとしている僕が面白かったのか、女がクスクスと笑う。笑いながら何かを言う。口の動きが長くて、何を言っているのかさっぱりわからない。首をかしげると、女はまたクスクスと笑う。
なんで笑うのかと口を尖らせる僕の手を引きながら、また歩き始める。その時後頭部に何かがぶつかったのを感じた。なんだろうと後ろを見ると、物陰から何かが出てきた。
そこで目が覚めた。